新人育成の代表的な手法であるOJT(On-the-Job Training)ですが、その運用方法を間違えると、単なる「放置」や「業務の丸投げ」に陥ってしまう危険性があります。
OJTを真に効果的な育成の機会とするためには、計画的な目標設定と、質の高い対話、すなわち1on1ミーティングの活用が不可欠です。
まず目標設定においては、漠然としたゴールではなく、具体的で測定可能な小さな目標を段階的に設定することが重要です。例えば、「一人前のエンジニアになる」という大きな目標ではなく、「今週中に〇〇機能のテストコードを一人で実装完了させる」「次のリリースまでに、このコンポーネントの修正をレビューでの指摘2件以内で完了させる」といった、達成度が明確にわかる目標を設定します。これにより、新人は自身の成長を実感しやすくなり、モチベーションを維持することができます。
そして、この目標達成をサポートする上で絶大な効果を発揮するのが、定期的な1on1ミーティングです。これは単なる進捗確認の場ではありません。新人が現在困っていること、悩んでいることを安心して話せる時間であり、キャリアについての考えを深めたり、心身のコンディションを確認したりする貴重な機会です。
リーダーは、自分が話すよりも新人の話に耳を傾ける「傾聴」の姿勢を徹底し、オープンな質問を投げかけることで、彼らの内面にある課題や考えを引き出すことを目指しましょう。
計画的なOJTと質の高い対話は、新人のスキルアップを加速させるだけでなく、チームへの信頼と貢献意欲を高めるエンゲージメント向上にも直結する、最も効果的な投資です。